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Archive for 2011年9月21日

第四回 「頑張り屋さんなんだね」(テレビ制作会社社長 )⇒頑張ってるなんて意味がない!

 

 仕事に満足していなかった20代初め。なんとなく興味があった「ギョーカイ」の採用記事を発見。どうやら経験皆無でも良いらしい。その会社の住所は私がいつも営業しているエリア。気になるものの、23万人の超お固い会社から、いきなり数十人のオーナー企業のテレビ制作会社は「ないよな〜」と思い、履歴を提出するでもなく流していました。

けれど、、、病に近いほど好奇心旺盛な私。営業の途中に 気がつくとその会社の入ったビルの前にいました。ここまで来たら、もう行くしかない!採用の基準を直接聞いてしまえ〜っと扉を叩きました。するとなんと「只今社長面接中」だそうで、その場で志望理由を書いて受けていけと言われました。飛び込み営業ならぬ、飛び込み面接です。志望理由、何を書いたやら全く覚えておりません。だってテレビはあまりみないし、制作会社の役割もよくは知らないし、自分がそこで何をしたいかもわかっていない、ただ面白そうだなあ〜だけですから。

提出してしばらくすると、二十帖くらいの部屋に通されました。部屋の奥に、社長とおぼしき頭の禿げたオッサン(という表現がしっくりくるので暴言お許しあれ)がこちらを向いて座っており、その前に学校の教室よろしく椅子が並べてあり、30人くらい若者が腰掛けている。どうやら、呼ばれた人が社長の前に座ってそのまま面接をする公開面接パターンのよう。まだわけも分からぬうちに、部屋に入ってすぐに私の名前が呼ばれました。社長はしばらくジーーっと私の履歴と顔を見比べ、、、んが、しかし、特に何か質問するでもなく、こちらからも何もしゃべるネタもなく、しばし気まずい沈黙。やっと口を開いた社長がポツリと一言

「会社行きながら夜に大学院に行っているんだ。頑張り屋さんなんだね。

「はあ」

以上終了。箸にも棒にもかからないとはかのこと? そのまま隣の部屋に通されました。実はそこが2次面接に残った人の部屋でした。全部で5人。何もしゃべってないのに一次をパス?(というよりスルー)したということは、現在勤めている企業との落差に興味を持ったのか?あるいは大学院に通っていることが良かったのか?まさか顔(笑)?と訝しみつつ内心「受かっちゃったらど〜しよ〜♡私もギョーカイジン」なんて脳天気に思っていました。

さて2次面接。最初の呼ばれたのが、白いワイシャツに濃紺のスーツをピシっと着こなした、明らかに銀行マンな男子。「失礼ながら御社の財務状況を調べさせていただきまして」から始まり、現状分析、環境変化予測と対抗するための方策の提案へと展開。社長は「ウチには君みたなヤツが必要だっ!」と激奨です。

一方、私は彼の面接の後逃げるようにその場をさりました。

自分がとても恥ずかしくなったのです。

「頑張り屋さん」なんて、なんの意味もない。私の大学院なんて、ただ他にやりたいことがわからないから”取り敢えず”やっているだけで実がない(少なくともどう実にしてよいか当時は判っていなかった)。そう思うと「頑張ってるね」ではなくて「頑張り屋さんなんだね」というちょっと「甘い」ニュアンスのある表現に「若造で何も判ってなさそうだけど頑張る気はあるね」という裏の意図が読み取れます。もしかすると、私が男だったらああは言わず、また2次面接にもいかなかったのでは?などとも思えてきたのです。

頑張るのは誰でもできる。けれどもその頑張りに目的がなければ単なるエネルギーの消費です。何をしたいのか?面接に行って社長から私の中に良いものをみつけてもらって、ポジションをもらおうなんて甘い。自分で考えて行動しないで、人から何か与えてもらうなんてあり得ません。「幸運の神は前髪しかない。顔洗って出なおして来い!」と肝に命じた瞬間でした。

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